多様なユーザーが閲覧するマイページの改善をノーコードで素早く。SHElikesによるチーム横断での効果的なKARTE Blocks活用術
- 社名
- SHE株式会社
- サービス名
- SHElikes(シーライクス)
- 事業内容
時間や場所にとらわれずに働くための40以上の職種スキルが定額で学び放題の女性向けキャリアスクール。 Webデザイン、Webマーケティング、ライティングなどのデジタルスキルやクリエイティブスキルを幅広く身につけることで、「私らしい働き方」の実現に伴走する。https://shelikes.jp/
SHE株式会社は、様々なスキルを学べるレッスンやコーチングの機会を提供する、日本最大級の女性向けキャリアプラットフォーム「SHElikes」を運営しています。累計7万名以上の受講生がおり、現在は8千人以上が「自分らしい人生を歩んでいく」ために日々学んでいます。
シーメイトと呼ばれるSHElikes受講生は、SHElikesのサービスにアクセスできる個人ページ「マイページ」にログインすることができます。シーメイトは年齢や経歴、受講期間、学習フェーズなどが個々で異なりますが、マイページで表示する情報は同一となっていました。
そこでSHEは、シーメイトの個々の状況に最適化したマイページを作成すべくKARTE Blocksを導入。複数チームをまたぐ運用フローを確立し、開発工数をかけずリーンなWebサイト改善に取り組んでいます。
SHEの開発ユニットの錦織滉司さん、CX(カスタマーエクスペリエンス)ユニット(以下:エクスペリエンスユニット) コミュニティマネージャーの水谷有沙さん、データ企画ユニットの隅藏美咲さんの3名に、SHElikesの運営体制、KARTE Blocksの導入経緯と実施した主な施策、そして今後の展望を伺いました。
一人ひとりに合った学習促進を目指すSHElikes
まずは、SHElikesのサービスの特徴を教えてください。
隅藏:SHElikesは、デジタルやクリエイティブスキルを幅広く学び、時間や場所に縛られない「私らしい働き方」を実現するためのキャリアスクールコミュニティです。「コミュニティ」と「テクノロジー」を掛け合わせた「コミュニティテック」による学習促進を特徴としています。
SHE株式会社 データ企画ユニット 隅藏美咲さん
どのようにサービスを提供しているのですか?
隅藏:私たちは、SHElikesのコミュニティを「球体型コミュニティ」と呼んでいます。シーメイトさんと社員の垣根がなく、より良いコミュニティを醸成することを大事にしており、入会時にもそうした意識づけを行っています。
コミュニティの醸成により、シーメイトさん同士の交流や関わり合いを生み出し、一人で受講するよりも学習の習慣化が促進されたり、高い目標設定にチャレンジできたりするようにしています。
月に一度のコーチングで学習計画を立てたり、イベントやコミュニティ活動などシーメイトさん同士が交流できる機会を作ったりするほか、コミュニティサイト 「SHEstation」も開設。学習内容の疑問解消、学んだことを実践できるコンペティションへの挑戦、求人情報の確認などが可能です。
コミュニティの運営に注力しながら、コーチングなどによって取得した、一人ひとりの深層レベルの心理データや性格タイプを「SHE Value DB(データベース)」として蓄積。学習定着や復学を後押しするポイントを分析するとともに、タイプに合わせた人と人、コンテンツとのベストマッチングができるようにしています。
1つ改善する間に、課題が2つ増える。開発リソース不足の状況
サービス運用の体制を教えてください。
隅藏:エクスペリエンスユニット、開発ユニット、データユニットなど、いくつかのユニットに分かれて活動しています。SHElikesでは、シーメイトさんのフェーズを「SHElikesに入会するまで」「入会してから学習定着するまで」「学んだことを生かして働き始める」の3つに分けており、それぞれのユニットから各フェーズに従事するメンバーが集まり、サービスを運営しています。
錦織:開発ユニットには、エンジニア、デザイン、PdMを合わせると10名ほどが所属しています。僕はエンジニアとして、「入会してから学習定着するまで」のフェーズにおける開発を担当しています。
SHE株式会社 開発ユニット 錦織滉司さん
水谷:エクスペリエンスユニットには30名ほどが所属しています。その中で私は、錦織さんと同じ「入会してから学習定着するまで」フェーズにおけるシーメイトさんの体験向上やコミュニティマネジメントを担当しています。
SHE株式会社 CXユニット コミュニティマネージャー 水谷有沙さん
隅藏:私はデータ企画ユニットに所属しており、先程お伝えしたSHE Value DBの運用を主導しています。開発やデータの組織にいても現場感を知りたいときには、イベントを見学できたり、シーメイトさんたちが拠点やWeb上に集まって作業をする「もくもく会」に参加したりすることもできるんです。
錦織:これらのユニットが密にコミュニケーションをしながら、サービスの改善に取り組んでいます。例えば、データグループがシーメイトさんの行動データをダッシュボードにまとめており、開発側はそれを日常的にチェックする。また、エクスペリエンスユニットと開発ユニットでも頻繁に会議をしていて、シーメイトさんの事例やコミュニティイベントの映像を確認しながら施策を考えています。
機能改善や新しい機能開発を行う際はどのように連携しているのでしょう。
隅藏:なにかの開発を進める際は、PdMが中長期計画やロードマップを作成します。そこから、各フェーズに所属してる開発メンバーが小さく開発し、仮説検証を回しているんです。運用のなかで生じる不具合などの細かい改善は、エンハンスチームが対応しています。
錦織:新機能開発と改善を合わせると大きなものが常に2〜3つ走っています。そのうちの半分くらいはエンハンスチームが対応しています。新しい機能ができればできるほど、使い勝手に関するご意見も増えるので、改善を1つする間に課題が2つ増えるような状況です。
改善策はどのように立案し、優先順位をつけていますか?
隅藏:課題の発見パターンは大きく3つあります。1つ目はシーメイトさんのSNS発信などのUGCから判明するもの、2つ目はシーメイトさんの行動データを分析したりサービスを触ってみたりして思いつくもの、3つ目は匿名の問い合わせフォームから寄せられるご意見から発見するものです。
これらの3つのパターンで課題を発見し、リストアップした上でエクスペリエンスユニットと開発ユニットのメンバーなどで話し合い、改善の難易度などを考慮した上で優先順位をつけています。
錦織:新機能の開発が多くなり、細かな改善を回す開発リソースが不足していたため、開発ユニットの工数を使わずに対応する方法を模索していました。その課題を解消するためにKARTE Blocksを導入しました。
マイページの情報を顧客ごとに出し分け、効果を実感
KARTE Blocksを導入した決め手はなんだったのでしょうか。
隅藏:錦織がお伝えした通り、開発工数をかけずに改善できる体制をつくりたいと考えていました。もともと、私が前職でKARTEやKARTE Blocksを使ったことがあり、導入によって実現できる素早い改善サイクルがスタートアップのスピード感に合うのではと思っていたんです。
最初は、「受講プランニング」のバナーをプラン変更ページに掲載した施策を実践しました。受講プランニングとは、シーメイトさんの悩みを解消するために、受講アドバイザーが受講の進め方を提案するものです。
もともとは、開発工数を使わないようにメールやLINEで受講プランニングの案内を送付するつもりでしたが、「KARTE Blocksでもできるのでは?」と提案し、実施することになりました。セグメントを指定して、マイページにバナーを掲載した結果、LINEで通知した場合よりも多くの方がクリックしてくれました。
この施策によって、マイページにおけるセグメントごとの情報の出し分けが効果的であることが社内に認識されたんです。また、ほとんどHTMLを触ったことのない私でも実装できたので、「KARTE Blocksは誰でも扱えそうだ」と本格的な導入へと至りました。
導入後、KARTE Blocksをどのように活用されていますか?
隅藏:主に、全シーメイトさんで同一だったマイページの改善に活用しています。マイページは、SHElikesの受講期間にかかわらず同じ内容が表示されるため、セグメントに合わせた情報を提示できていませんでした。
特に、新規入会者の方はマイページを見ても、何をしたらいいのかがわかりません。なかには入会時にPCを持っていない方もいらっしゃいます。そうしたシーメイトさんたちの状況に合わせて、情報を出し分けできるマイページにするためにKARTE Blocksを活かしています。
水谷:最初のステップとしては、マイページのトップに新着情報などのバナーを提示できるカルーセルを設置しました。これまではマイページから別ページにある「お知らせ」に遷移して最新情報を確認する形になっていたため、ページを遷移する方以外は辿り着きにくくなっていました。
カルーセルを設置した結果、先月はマイページにアクセスしたシーメイトさん全体の3割がクリックしてくれています。スキル獲得を目的に職種コースを中心に受講される方にも、お仕事情報やイベントなどのコンテンツに触れてもらえるようになりました。
隅藏:KARTE Blocksが効果的だ、ということが社内でも認識されるようになり、使いたいというメンバーが増えてきてからは、課題発見から施策のリリース、効果検証をするまでのフローをつくることもできました。
開発工数を最小限に、素早い改善を回すための運用フロー
どのようなフローを構築されたのでしょうか?
錦織:KARTE Blocksの導入後、普段サービス開発をしているチームにも少なからず影響は発生しそうということがわかってきました。開発チームが知らないところで施策が出て、サービスに影響があると困ってしまいます。
とはいえ、開発に影響するからといって、あまり運用に関して開発側から干渉してしまうと、KARTE Blocks の良さが失われてしまう。そこでなるべく小さくルールを定めて、それに沿った上でなら好きなように使ってOKというフローをつくりました。
※ SHE Tech Blog:開発タスクを減らす取り組みとして KARTE Blocks のワークフローを整える
改善要望がある場合は、要求仕様をまとめるような流れでしょうか?
錦織:そこまでカチッとしたフローにはしてないですね。まず、KARTE Blocksで表示させたいものが出てきたら、開発側に対して「トリガーとなるid属性をDOM(Document Object Model)に付与する依頼」をしてもらいます。id属性をトリガーにすることで、普段の開発によりDOMが多少変化しても、KARTE Blocksで表示した部分への影響が出ることが防げます。idを付与するだけなので、スピード重視で進められるようにしています。
開発側が関わらないようにしている点はありますか?
隅藏:施策の実装については、開発ユニットが主導しないようにしています。そうなると、ノーコードの良さが損なわれてしまうので。
例えば、先ほどお話ししたマイページのカルーセルに関しては、KARTEのことをある程度わかっている私が設定や条件付けをし、難しいところだけを開発チームに依頼しました。運用の型を作り、DOM構造の変化による影響がないことを確認した上で、運用をエクスペリエンスユニットに任せています。エクスペリエンスユニット側では運用フローに乗っ取り、画像を差し替えるといった仮説検証が可能になりました。
他になにかフローで定めていることはありますか?
錦織:動作確認は、本番環境とほぼ同じ設定にしてある検証環境で行うようにしています。これは本番環境と検証環境の乖離を小さくする取り組みの一環ですね。ただ、コスト面などを考慮すると、データベースなどまでは同じ条件にできないため、どこまで近づけていくかは引き続き検討が必要です。
KARTE Blocksの施策で仮説検証を終え、本格的な機能開発に入りたい場合や、より細部にまでこだわって施策を作りたい場合は、通常の開発フローで行うことにしています。
顧客が増えても、コミュニティの熱を維持するために
KARTE Blocksの導入によって、どのような変化がありましたか?
隅藏:各ユニットの連携がよくなり、素早く柔軟な改善ができるようになりました。どのようにデータを見て、どのように課題を見つけ、KARTE Blocksで施策を作り、効果検証や本実装に至るか、という対応範囲が明確になったことが大きいです。
錦織:KARTE Blocksで施策を一度設定すれば、その後の対応は他チームに任せられます。マイページのトップに設置したカルーセルも、エクスペリエンスユニットのメンバーが管理画面から簡単に変更できるため開発の工数は減りました。
隅藏:セグメントごとの情報配信は、本格的に開発しようとすると工数がかかります。特定の属性の人にだけ情報を出したい場合は、KARTE Blocksのほうが有効だと考えています。
今後の展望を教えてください。
隅藏:顧客理解をより深めていけたらと思います。徐々にWebサイトに訪れる人の求めているものが見えてきたので、今後は「体験としてどうだったか」を分析して、さらなるマイページのパーソナライズを目指していきたいですね。
水谷:SHElikesは、積極的に新しいコンテンツを作ったり磨いたりしています。その結果、シーメイトさんへの情報発信が1日2〜3回になり、LINE通知も頻繁に送るような状況になっています。
かといって、情報過多にならないように配信枠を調整したら、スピード感が落ちてしまう。そうならないよう、マイページのカルーセル以外の施策も併用しながら、シーメイトさん全体に配信するという方法から脱却し、必要な人に必要な情報を素早く届けられるようにしていきたいですね。
サービスの展望としては、シーメイトさんの数が増えれば触れるほど、コミュニティの熱狂をキープする難易度は上がっていくはず。よりパーソナライズされた情報を提供したり、顧客体験を改善したりすることを通じて、自分らしい生き方や働き方を実現するシーメイトさんを増やしていきたいですね。
活用事例
カルーセルの追加設置・活用でマイページ内の情報発信を改善。会員ステータスに合わせた利用促進にも寄与。
詳細はこちら
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