オウンドメディアのリニューアルのタイミングと注意点やリスク

オウンドメディアを長く運営していると、アクセス数に伸び悩んだり、コンバージョンにうまくつなげられず、リニューアルが頭をよぎることがあるのではないでしょうか。

ところが、安易な理由でリニューアルしようとすると、想定外の事態を招いてメディアの価値を毀損することになりかねません。コンテンツ数が多く、オウンドメディアの構造が複雑であるほどその可能性が高くなります。

オウンドメディアをリニューアルする前に、そもそもどういったタイミングでリニューアルを検討すべきなのか。また、その際の注意点やリスクを把握することで、リニューアル前後に起こりうることの想定範囲を拡げておきましょう。

以下ではそれらを具体的に説明していきます。

オウンドメディアをリニューアルすべきタイミング

オウンドメディアのリニューアルには、サイト構造やカテゴリーの変更を検討したり、新しいデザインを検討したり、テクニカルなSEOについて検討したりと、大幅な変更に伴う多くの作業と時間を要します。

リニューアルを検討する理由はさまざまだと思いますが、その労力やリスクを考慮すると、必ずしもリニューアルをしなくても、現行サイトのままで打てる手があるなら、まずはそれを考えて実行することをおすすめします。

例えば、アクセス数が減っているというのであれば、流入の入口となるSEO対策やSNS対策を見直すなど。また、CV数が減っているのであれば、サイト内の導線設計を見直すことで改善されるケースが多々あります。

オウンドメディア運用チーム内で「本当にリニューアルしないと現在の問題は解決できないのか」という議論を踏まえ、それでも実行すべきという結論になればアクションを前に進めていけば良いと思います。

そういったタイミングとはどんな時なのか、一般的にオウンドメディアをリニューアルする際に検討される理由をいくつかご紹介します。

収益モデルを変えたい

例えば、これまではPV数を増やしていき、そのPV数に比例した広告収入を得ることでマネタイズを実現していたオウンドメディアがあったとします。

しかし、PV数を稼ぐことに限界を感じてきたため、リニューアルを行って、これからはログインを前提とした有料会員制のメディアにモデルを変えていきたい、といった場合にはリニューアルを議論していくことになります。

上記の例だと、メディアの裏側に会員が登録できるシステムや、その会員登録の有無によって各種コンテンツの閲覧制限を調整しないといけないため、デザイナーやエンジニアを巻き込んでプロジェクトを前に進めていきます。

デザインを変えたい

オウンドメディアを長く運用しているとそもそものデザインが古くなり、競合メディアよりも見劣りしたり、主要なターゲット層が好むデザインではなくなったりしている場合があります。

また、サイトの構造という部分でも、多少の導線変更では追いつかず、そもそものカテゴリー分けの分類や導線設計の改善範囲が広くなりすぎることもあります。

デザインと構造は不可分なので、これらに対する改善要望が一定の量を超えた場合は、大きく見直しを図るメディアのリニューアルを検討すべき時期だと言えます。

リニューアルに伴いデザインと構造がうまく機能すれば、ユーザーからの好感度が上がり、ユーザー体験の改善から回遊率を高めることにもなります。また、Googleのクローラが内部リンクを辿って巡回をしやすくなり、SEO対策にも貢献します。

ブランディングを変えたい

上述したデザイン変更に似ていますが、この場合は、単にデザインや構造を変えるといったことではなく、運営するオウンドメディアのメインターゲット層を変えていきたい場合を主に想定しています。

今までは20代の独身女性向けの犬メディアとして運用していたが、今後はシニア向けの犬メディアにコンセプトを大きく変更していくようなケースです。

上記の方針転換により、当然ながらデザインの変更も検討されると思います。ただ、デザインの変更に加えて、キャッチコピーの変更であったり、オウンドメディアの名称の変更であったり、ドメインの変更なども検討されることがあります。

オウンドメディア自体を生まれ変わらせるという表現が近く、そのためのブランディングの変更であり、メディアのリニューアルになるという話になります。

オウンドメディアリニューアルの流れ

オウンドメディアのリニューアルの流れは、CMSを組み込むコーポレートサイトのリニューアルに近いものがあります。

別途「コーポレートサイトをリニューアルする最適な時期と流れについて」という弊社の記事の中で、リニューアルまでの流れを説明しているので参考にしてください。

  1. 現状分析
  2. 戦略・目的の確認
  3. Webサイト設計
  4. デザイン作成
  5. コーディングとCMSの組み込み
  6. 本番公開
  7. 保守・運用

上記のリニューアルの流れについて、記事では細かく説明をしています。リニューアルに伴う実業務を担うのはデザイナーであったり、コーダーであったりなど、専門職の方が作業をされます。

ただ、リニューアルがどのように進んでいくかの流れを把握しておくことで、ご自身がオウンドメディアのリニューアル担当としてプロジェクトをリードしていく際に必ず役に立ちます。詳細な技術内容を理解する必要はないので(もちろん理解できるのであれば尚良いのですが)、概要だけでも上記の記事からつかんでおきましょう。

オウンドメディアリニューアル時の注意点

集客の注意点

オウンドメディアへの集客経路は複数ありますが、リニューアル時に最も注意が必要なのは、自然検索から(GoogleやYahooなどから)の流入です。

最も注意が必要なのはドメインを変更する際です。ドメインが変わるということは、URLが変わるということです。それに伴うリダイレクト・robots.txt・Canonicalなどの設定変更を間違うことで、せっかく築きあげてきたSEO効果を失ってしまうことがあります。

また、ドメインの変更を伴わないとしても、カテゴリーの変更を行ったり、ディレクトリの構造を大きく変更する時なども、適切に改善しないとSEOにネガティブな影響を与えてしまう可能性があります。

どういった点に注意したら良いかという話をある程度箇条書きにすることもできます。ただし、結論としてはそれらの箇条書きに従って注意深く自分たちだけでリニューアルをするよりも、SEOの専門家にプロジェクトに参加してもらうことを強くおすすめします。

デザインの失敗は取り返しがつきますが、SEOでの失敗は取り返しがつきません。よって、インハウスのSEO担当がいたとしても、セカンドオピニオン的に外部のSEO専門家から意見をもらうのはリスクヘッジにつながります。

ユーザーの注意点

運用中のオウンドメディアであれば、そのコンテンツを読むのを楽しみに定期的に訪問してくれているユーザーがいます。そのユーザーの閲覧体験を損ねてしまうようなリニューアルにならないように気を付ける必要があります。

そのユーザーのことを知る上では、やはりGoogle Analyticsを活用するのが効率的です。

Google Analyticsは設定しているけど、主要な数字(セッションやPVや直帰率など)しかチェックしておらず、細かい分析項目まではあまり見ないという方も少なくないのではないでしょうか。確かに毎日のメディア運用においては全ての項目を確認するのは大変です。

ただし、オウンドメディアのリニューアルのようなタイミングにおいては、改めてどういったユーザー属性(地域やデバイスなど)の方が、どういった時(時間帯や曜日など)に訪問してくれて、どのページをどれくらい閲覧して、どういった頻度で再訪してくれているのかを知るのは重要です。

時間帯や曜日などはカスタムレポートを作成する必要がありますが、Looker Studio(旧:Googleデータポータル)を使えば、多くのテンプレートがネットで公開されているので効率的にユーザーについて把握することができます。

そうやって定量的に現在の訪問ユーザーについて把握しつつ、可能であればユーザーインタビューを用いて定性的にもユーザーのことを知り、どのようなリニューアルサイトがユーザーにとって理想的なのかを整理しておきましょう。

分析の注意点

日々のオウンドメディアの運用においては、多様な業務に対して過小なリソースで知恵を振り絞りながら改善を行っている方ばかりだと思います。潤沢なリソースのもとでオウンドメディアを運用できているご担当者の方が稀でしょう。

そういったオウンドメディアの組織体制やリソースのことを考えると、効率的に分析をできる仕組みを持っているかどうかは成果に直結します。

Google Analyticsを見て改善点を見つけたり、ユーザーインタビューを重ねて導線の改善案を見つけても、実行できるリソースがなくて断念したり、実行に数ヶ月もかけたりしていては見込み客が遠のいてしまいます。

このような時に、「KARTE Blocks」を使用すれば、今まで都度外部の制作会社や社内の開発部門に依頼しないといけなかったサイトの更新作業を、Web担当者自身が簡単な操作で行えるようになります。具体的には以下のような利用シーンに使用することができます。

  • サイトをブロックに分解し、更新・管理する
  • ブロックごとに数値を計測・分析し、改善のための気づきを得る
  • アイデアをすぐに試す、ABテストする
  • パーソナライズでパフォーマンスを向上する

KARTE Blocksにはページを新規で作成する機能はありませんが、CMSと組み合わせて利用することで、従来だとさまざまな人を巻き込み数週間かかっていたようなプロセスを、Web担当者の作業のみで即時対応完了することができるようになるため、業務効率を劇的に向上することが可能です。

オウンドメディアリニューアル後のリスク

上記のような注意点を踏まえてオウンドメディアのリニューアルを行ったとしても、想定外の事態や人為的なミスなどにより思わぬ結果を招くリスクもやはりあります。

オウンドメディアのリニューアルは、相応の理由がない限りと実施すべきではないと考えるのは、このリニューアル後のリスクをゼロにすることができないからです。

リスクについては大小様々なものがありますが、前章のオウンドメディアの注意点の「集客」と「ユーザー」に関連する部分で2点ほどご説明していきます。

流入数の減少

上述した集客の注意点でSEOの専門家を交えてリニューアルを行わないと、SEOにネガティブな影響を与える致命的なミスを含んだままサイトが公開され、自然検索から(GoogleやYahooなどから)の流入が減ってしまう可能性について言及しました。

このSEOの専門家に任せれば100%安心かと言えば、世の中には様々なSEOのプロが存在しているので気が抜けません。制作業務が主な得意領域で、実はSEOについての知見は少なくても「SEOに強い制作会社です」と喧伝される制作会社もいるからです。

そういった会社にオウンドメディアのリニューアルを依頼すると、下記のようないくつかの複合的な要因が重なって流入数が大きく減少します。

  • リダイレクトの設定漏れ
  • それに伴う外部被リンクの消失
  • Canonicalの設定ミス
  • robots.txtの記述ミス
  • ディレクトリ構造の無戦略な変更
  • 内部リンクの調整ミス
  • カテゴリー内の記事の変更

他にも多々ありますが、こういったリスクを極力低減させるためには、制作会社とSEO会社を分けて依頼をするプロジェクト体制の方が無難です。

また、プロジェクトに関わる社員の方も、インハウスのSEO担当がいれば理想ですが、いない場合はSEOについての理解を少しでも深めておくことで、外部業者さんのミスに気付きやすくなります。

ロイヤルユーザーの離脱

上述したユーザー体験の注意点で、定量・定性的に現行ユーザーを分析して理解を深めておくことが大事だとお伝えしました。

ところが、定性分析も定量分析も「これまで」の過去ユーザーの分析になります。一方収益モデルの変更やブランディングの変更に伴うユーザー分析は、「これから」の将来ユーザーの分析になります。つまり、分析対象がズレることになります。

その結果、リニューアル前のロイヤルユーザーがリニューアル後のサイトに訪問してくれなくなるリスクにつながります。収益モデルが変わるようなケースにおいては、意図してその変化を生むことになるので、厳密にはリスクと言えないケースもあります。

分析対象のユーザー属性が変わることで、リニューアル前には想定しきれなかったリスクが他にも発生する可能性があることは理解しておく必要があります。

まとめ

オウンドメディアをリニューアルするには、リニューアルするだけの十分な理由が必要だという点をご理解いただけたかと思います。

その上でリニューアルしても尚リスクが残るので、オウンドメディアの運用担当者にとってはリニューアルは頭が痛い課題の1つだと言えます。

それでもメディアの可能性を信じてリニューアルを実行する全ての担当者の方を我々は応援していますので、今回の記事が少しでもそんな皆さんのお役に立てたのであれば幸いです。

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