【初心者必見】オウンドメディア運用の基本を徹底解説!構築から運用のポイントまでわかりやすく説明します
オウンドメディア(Owned Media)とは、その名の通り自社が保有するメディアのことを指します。広い意味ではパンフレットや広報誌のようなオフライン媒体も含みますが、一般的には企業が運営・情報発信を行うWebマガジンやブログのようなものを意味する場合が多いです。
オウンドメディアを運用したいと思っても、「そもそも何から始めたらいいのかわからない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、専門的すぎる用語を極力避けて、オウンドメディアを運用する目的やメリット・デメリットについて平易に解説していきます。これからオウンドメディアの立ち上げを検討されている方、運用について基本から理解したい方はぜひ参考にしてください。
オウンドメディアを運用する目的
1-1.認知獲得
オウンドメディアを運用する目的は様々ありますが、そのうちの1つに、会社やサービスの認知獲得が挙げられます。
ターゲット顧客が抱えているであろうお悩みや課題の解決につながるようなコンテンツを発信したり、自社サービスについての情報を発信することで、検索やSNSを通してサービス名を知らない人の流入を促したり、サービス自体の認知度向上を期待することができます。
この際、ただ名前を知ってもらうだけでなく、自社サービスの世界観を伝えたり、サービス自体のブランディングを目的として活用することも可能です。
「世界観を伝える」というのは、自社がターゲットに向けて押し出したい「イメージ」を広める、ということを意味します。業界内で自社の立ち位置を確立するには、他社にはない自社の強みや特徴を理解してもらい、「●●ならA社」といったように他社との差別化を図ることが重要なのです。
またKPIを設定する際は、自然検索上での指名検索数(Search Consoleで確認することができる)や、SNS上でのサイテーション数(企業名に限らず、サービス名などがどれくらいSNS上で言及されているか)といった値を確認すると良いでしょう。
1-2.コミュニケーション
オウンドメディアというと、ブログのような「メディア」をイメージされる方が多いかもしれません。しかしメディアだけでなく、ニュースレター、ダイレクトメール、パンフレットといった媒体も、立派なオウンドメディアの一種です。
ニュースレターやダイレクトメールといった媒体は、すぐに購入を促すのではなく、時間をかけて購入意欲を高める手段として有効です。
サービスの魅力を伝えるコンテンツを継続的に発信することで、以前はそこまで関心を持たなかった顧客も、コンテンツを読むごとにサービスへの理解が深まり、徐々に興味を示すようになります。時間をかけてサービスを知ってもらうことで、顧客との信頼関係を構築することができます。
例えば、インテリア雑貨をはじめ暮らしに関わるさまざまな道具を取り揃える「北欧、暮らしの道具店」では、商品販売だけでなく、「読みもの」というミニコラムを集約したページが公開されています。
スタッフが実際に愛用する商品を紹介する『スタッフの愛用品』や、お客様係チームが毎日の仕事の裏側を紹介する『お客さま係ノート』をはじめとした連載が人気です。このようなコンテンツは、商品やブランドをより身近に感じてもらい、信頼感を築きやすいです。
「北欧、暮らしの道具店」公式サイトにて公開されているミニコラムのページ
また、KPIを設定する際は、訪問者に占めるリピーターの割合、セッションあたりPV数、ニュースレターなどの場合)開封率といった値を置くと良いでしょう。
1-3.リード獲得
BtoBの企業においては、直接的に会社の利益につながりやすい「リード(見込み顧客)獲得」も、オウンドメディアの重要な役割の一つです。ここでは実際の事例を取り上げながら解説していきます。
例えば、マネーフォワード社が運営する Bizpediaは、バックオフィス業務のお悩みに関する情報を発信しているオウンドメディアです。Bizpediaでは、サイドバーに資料ダウンロードへ誘導するCTAが配置されています。この場合、資料をダウンロードしたユーザーがリードとなります。
Money Forward社が運営する『Bizpedia』では、ユーザーのさまざまなお悩みに対応する資料がダウンロードできるCTAが配置されている
次に、クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRが運営する、SmartHR Mag.をご紹介します。SmartHR Mag.では、資料ダウンロードの他に、無料メールマガジンの登録や自社主催イベントの申し込みへ誘導するCTAも配置されています。このように、一つのメディア内でリード獲得につながる複数の動線を設計することも可能です。
資料請求、お問い合わせ、有料会員など、リードの定義は様々にありますが、自社サービスやオウンドメディアで発信したい情報に合わせて適切なKPIを設定するようにしましょう。
SmartHRが運営するSmartHR Mag.では、資料ダウンロードの他に、メルマガの登録や自社主催セミナーの申し込みを促すCTAも配置されている。
オウンドメディアを運用するメリット・デメリット
企業サイトへの流入経路は、大きく分けてオウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアの3種類があり、これらをまとめてトリプルメディアと呼びます。
オウンドメディアは前述の通り、自社が保有するメディアのことを指し、パンフレットや広報誌のようなオフライン媒体からWebマガジンやブログのようなものまでさまざまです。
ペイドメディアは、企業が認知や拡散を目的として、コストをかけて広告を掲載する従来型のメディアを意味します。例えば、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web広告などが該当します。
アーンドメディアは、ユーザーや消費者自身が情報発信の主体となるメディアのことを指します。ペイドメディアのようにコストがかからず、オウンドメディアのように自社主体の媒体ではありません。具体的には、SNSやレビューサイトなどが該当します。
本記事では、トリプルメディアの特徴を比較した上で、オウンドメディアのメリット・デメリットについて説明します。
2-1.メリット
長期的な資産となる
オウンドメディアのために作成したコンテンツは、一度公開すれば半永久的にユーザーの流入経路となり得るため、企業の資産として蓄積されていきます。
一般的な集客の手段として広告が挙げられますが、ペイドメディアである広告は、出稿費を支払い続けなければならないほか、出稿を停止してしまうと集客が断たれてしまいます。
一方で、オウンドメディア用に作成したコンテンツは、自社サイト内に残しておくことができます。きちんとSEO対策を行ったサイトであれば、費用をかけずとも持続的にリードを獲得し続ける資産として成長して行きます。
広告以外の持続的な集客エンジンを確保できるため、広告費の削減にもつながり、コンテンツの蓄積とともに広告への依存度は徐々に薄れていきます。
コンテンツについては、「3.オウンドメディアの運用業務」にて後述します。
コンテンツをコントロールできる
コンテンツを自社でコントロールすることができる点も、オウンドメディアの大きなメリットです。
オウンドメディア以外のペイドメディア、アーンドメディアは、コンテンツの内容や出稿のタイミングを企業側でコントロールすることが難しいのが特徴です。
例えば広告(ペイドメディア)の場合、広告を出稿したり停止したい場合には、若干のタイムラグを要します。
また他社メディア(アーンドメディア)に記事を露出したい場合、そもそも公開してもらえるかどうか確実ではなく、自分たちで記事の内容をコントロールできるとも限りません。
それに対して、オウンドメディアは自分たちでコンテンツを作成するため、記事の内容をコントロールできますし、公開したり非公開にするタイミングも自由に調整することができます。
コンテンツを再利用できる
オウンドメディア用に作成したコンテンツは、広告やパンフレット、ホワイトペーパーといった他の媒体に二次利用することもできます。具体的には、下記のような展開が可能です。
- 広告…オウンドメディアで反応が良かったコンテンツを広告でも配信する
- SNS…FacebookなどのSNS用にアレンジし、SNSからの流入を増やす
- メール…メール用にアレンジし、接点を増やす
- ホワイトペーパー…コンテンツをホワイトペーパー化し、リードを獲得する
- セミナー…コンテンツをもとにセミナーを開催し、リード獲得につなげる
このように、オウンドメディアのコンテンツは汎用性が高く、一度コンテンツを作成してしまえば、横展開して様々な媒体で再利用することができます。
2-2.デメリット
成果が出るまでに時間を要する
オウンドメディアのデメリットの一つに、「実際にマーケティング効果が発揮されるまでに時間がかかる」ということが挙げられます。
即効性のある広告とは対極的に、オウンドメディアは公開後すぐに閲覧数を伸ばすことができるわけではありません。
これは、コンテンツを公開してから検索エンジンで上位に表示されるまで時間がかかるからです。近年ではあらゆる分野で多くの記事が公開されているため、競争が激化しており、上位表示されるまでに半年以上かかる場合もあります。
オウンドメディアの効果が出始める目安の記事数は「100記事以上」とも言われており、売上などのマーケティング指数に効果が現れるのは、さらにその先になってしまいます。
そのため、ユーザーにとって有益な情報を忍耐強く発信し続け、長期的な目線でコンテンツを蓄積し続けることが重要です。
コンテンツ作成にコストがかかる
多くの企業がオウンドメディアに注力する今、メディア間での競争が激化しています。競争を勝ち抜くためには、ユーザーにとってより一層有益な情報を発信し続けなければいけません。
一方で、そのような質の高いコンテンツを作成し、記事の品質を担保し続けるのは簡単ではありません。運営チームには、SEO・ライティング・編集といった専門的なスキルを持ったメンバーの存在が必要不可欠です。
社内にそのような人材がいない場合は、必要に応じて外部リソースを活用する企業も多いです。
またオウンドメディアは、単体ではなくCRM・MAといったツールと連携させることで、より一層効果を期待することができます。
この場合、ライティングに要するリソースの他に、運営体制を維持し続けるコストも発生します。
運用に手間がかかる
一度記事を公開したらそれで終わりというわけではありません。競合記事も多いため、上位表示し続けるのは容易ではなく、定期的に記事の内容や順位をチェックしなければいけません。
順位が下がってしまった記事に関しては、SEOやコンテンツの見直し、内容の追加・編集といったメンテナンス作業を継続的に行う必要があります。
コンテンツ作成とは別に、公開後の効果測定や分析といった作業も必要になるため、運用に手間がかかることが難点です。しかし、記事への流入を確保するには、このような作業を地道に行うことが非常に重要です。
メンテナンス作業のためのリソースも一定用意し、安定的にこなせるような運用体制を構築しましょう。
オウンドメディアの運用業務
オウンドメディアの運用業務とひとくちに言っても幅広い業務が含まれますが、本記事では「コンテンツ(記事)」に焦点をあてた上での運用業務について解説します。
サイト構築については、こちらの記事を参考にしてください。
参考:WordPressでサイトを構築する際の流れや費用について
3-1.キーワード選定
記事を作成するにあたり、まずは検索キーワードの調査・選定を行う必要があります。選定する際は、下記のようなフローで進めると良いでしょう。
- ユーザー像を鮮明にした上で、ユーザーが知りたい情報を具体的にイメージする
- ユーザーが実際に検索していそうなキーワードを洗い出す
- キーワード選定ツール(キーワードプランナーなど)を使い、関連するキーワードを調査する
- リストアップしたキーワードに優先順位をつけ、取捨選択を行う
いきなりキーワード選定ツールに頼るのではなく、まずはユーザーの知りたいことからイメージすることが重要です。
3-2.コンテンツ企画・制作(ライティング)
キーワードを選定した後は、ライティング作業に入ります。いきなり書き始めるのではなく、まずはアウトラインを作成しましょう。選定したキーワードを含めながら、記事の構成を考え、必要な情報が抜け漏れなく含まれているかどうか確認します。
当記事の作成にあたって準備したアウトラインのイメージ
大まかなアウトラインが完成したら、いよいよ執筆に入ります。
想定読者の知りたい情報から逸れないように、情報の粒度を意識したり、必要に応じて取捨選択しながらライティングを進めましょう。
3-3.校正・編集
ライティングが完了したら、校正・編集作業に移ります。
誤字脱字などの基本的なミスがないか確認するのはもちろんですが、「企画の方向性に沿った内容になっているか」「一貫性のある内容になっているか」「説明不足になっている部分はないか」など、全体を俯瞰して過不足なく書かれているか確認しましょう。
また「文章が正しく引用されているか」「競合記事と内容が重複している部分はないか」といった点も重要です。公開前に必ずチェックしましょう。
3-4.本番公開
確認作業が済んだら、いよいよ本番公開です。まずは、使用しているCMSに記事を入稿します。CMSの種類によって方法はそれぞれ異なりますが、見出しタグや装飾タグを使いながらレイアウトを整える作業が必要になる場合が多いです。
一通り入稿作業が完了したら、プレビュー画面を見ながら最終チェックを行いましょう。「誤字脱字がないか」「タグがずれていないか」「スマートフォンでの見た目に違和感はないか」など、最後まで念入りに確認します。最終チェックが済んだら、記事を公開しましょう。
3-5.アクセス解析
記事は公開して終わりではなく、日々コンテンツを分析し、アップデートしていくことも重要です。Google Analyticsなどのアクセス解析ツールやヒートマップツールを使いながら分析を進めましょう。
例えば「タイトル自体が検索意図に沿っておらず、PVが伸びない」「ユーザーの知りたい情報を提供できておらず、離脱率が高い」など、記事ごとに課題はそれぞれ異なります。
PV数や離脱率、検索順位を照らし合わせながら、各コンテンツのどこに課題があるのか見極め改善点を洗い出し、優先順位が高いものから対処しましょう。
オウンドメディアの運用体制
4-1.オウンドメディア運用に必要な人材
オウンドメディアを運営する上で必要な人材はライターだけではありません。本記事では、オウンドメディア運営において必要とされる人材について、その役割とともに簡潔に解説していきます。運営体制を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。
- ディレクター
運営チーム全体の指揮・統括を行います。主に上流部分(キーワード戦略など)の構想を立てたり、入稿スケジュールの策定やライター・エディターへの依頼など多岐にわたる業務を担当します。 - ライター
指定されたキーワードに沿って記事を執筆するライティング業務が中心ですが、場合によってキーワード選定、編集作業なども担当することもあります。ユーザーを満足させられるような質の高いコンテンツを作成する必要があるため、巧みなライティング力が求められます。 - エディター
ライターが執筆した作業を推敲し、必要に応じて編集・校正を行います。誤字脱などの基本的なミスはもちろんですが、内容の一貫性や外部サイトからの引用など、細かい部分まで確認します。 - デザイナー
オウンドメディアのUI・UXデザインを設計します。ユーザーにとって読みやすく、分かりやすいメディアになるよう動線や配置を検討します。 - エンジニア
サイト構築、フロントエンド・バックエンドなど幅広く担当します。 - アナリスト
データの集計・分析のプロです。企業に蓄積されている膨大なデータを集計・分析することで、オウンドメディア全体の成長のために必要なことを取捨選択し、戦略立案に役立てます。 - Webマーケター
解析ツールを使いながらメディアの閲覧状況を把握し、Web上のマーケティング戦略を立てるほか、広告などの施策運用まで担当します。
4-2.オウンドメディア運用を外注する場合
オウンドメディアの運用に必要な人材についてご紹介しましたが、「社内にはそんなに専門性の高い人材が豊富にいない…」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
そのような場合、運用を外部リソースに委託するという選択肢もあります。
本記事では、「運用をすべて代行してもらう」「コンテンツ制作のみ代行してもらう」という2つの場合に分け、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
運用をすべて代行してもらう場合
- メリット
専門的な知識を持つ人材に委託できるため、自社の負担が少ない - デメリット
運用にあたり多くの役割を外注することになるため、コストがかさむ
コンテンツ制作のみ代行してもらう場合
- メリット
すべて外注する場合に比べると、コストをおさえることができる - デメリット
社内で対応しなければいけない部分も多く、リソースの確保が難しい
また、オウンドメディアを運用する担当者のお悩みの一つに、サイトの更新作業が挙げられます。サイトを更新する度に、外部の制作会社や社内の開発部門に依頼しないといけないため、運用に手間がかかってしまうことが難点です。
そのような方には、ノーコードでサイト更新を行うことができるKARTE Blocksがおすすめです。工数のかかるサイト更新作業を、ウェブ担当者自身が簡単な操作で行えるようになります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
オウンドメディアは、広告以外の持続的な集客手段として、認知獲得・リード獲得といった効果を期待することができます。
また、自社サイト内にコンテンツを蓄積することで、企業の長期的な資産として、広告・メールといった媒体に二次利用することもできます。
一方で、作業工程が多岐にわたるほか、さまざまな分野において専門的な知識を持つ人材が必要となるため、企業のリソースに応じて外部代行を検討するのも有効です。
記事を公開して終わりではなく、より質の高い情報をユーザーに提供できるように、コンテンツを改善し続けなければいけません。アクセス解析ツールなどを積極的に活用し、現状の課題点を洗い出した上で、施策を検討しましょう。
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